脚本の開発

脚本を作るにあたって大切にしたのはコナン・ドイルの原典に敬意を払い、原作ファンも楽しめる新しいストーリーを生み出すことだった。そこでまずは脚本家6人とプロデューサーで、どの原作エピソードが今回の企画に合うかを吟味した。現在の東京にふさわしいもの、ホームズとワトソンが女性だからこそ膨らむエピソードなどを選び、7本のエピソードが決定した。これまでの映像化では、ホームズとワトソンの出会いが描かれるシリーズ第1作「緋色の研究」から始まるのが王道だ。もしくは、「シャーロック・ホームズの冒険」に収録されている「ボヘミアの醜聞」か「まだらの紐」から始まることもあった。しかし、「ミス・シャーロック/Miss Sherlock」の第1話は、「悪魔の足」という後期の作品がベースになっている。原作監修を担当した日本有数のシャーロキアンとしても有名な作家の北原尚彦曰く「第1話に「悪魔の足」を選んだことは、ホームズファンの間でも非常に興味深く捉えられると思います。その他の「三破風館」(第2話)、「サセックスの吸血鬼」(第4話)、「ボール箱」(第6話)なども含め、今までの映像化作品とは選ぶ視点が違います」。こうして決定した7本のエピソードを脚本家が現代風に脚色した。1話完結のミステリーだが、各話が1つの線でつながる構成になっているため、全話に真犯人に関係するあるモチーフをいろいろな形で登場させるという伏線も巧妙に張り巡らせ、何度見ても発見や驚きがあるシリーズ構成になっている。